【3月12日 AFP】フランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領が11日、パリ(Paris)で報道陣に語った言葉、「ボラピューク」に、通訳だけでなく仏人記者らも一様に戸惑いを隠せなかった。

 サルコジ大統領は記者会見で、前年12月にデンマークのコペンハーゲン(Copenhagen)で開かれた国連気候変動枠組み条約(UN Framework Convention on Climate ChangeUNFCCC)第15回締約国会議(COP15)に言及。各国首脳がまとめた「コペンハーゲン合意(Copenhagen Accord)」について、「ボラピュークのようなもの」と表現した。

「ボラ・・・何だって?」フランス人でさえ聞いたことがない言葉に、記者の中には「ビューク(Buc)行き航空便」を意味する「ボル・ア・ビューク」と言ったのだと解釈した者もいた。ビュークはパリ近郊の小さな街だが、この街に飛行場は存在しない。

 結局、サルコジ大統領のボキャブラリーの選択は正しかっただけでなく、同大統領は実は歴史に深い見識を持ち、「ボラピューク」は敬愛する故シャルル・ドゴール(Charles de Gaulle)大統領へのオマージュでもあることが明らかになった。

「ボラピューク」は19世紀末にドイツのカトリック教司祭、ヨハン・マルティン・シュライヤー(Johann Martin Schleyer)が考案した実際に存在する人工言語だ。シュライヤーは世界の人びとが意思疎通を図る共通語となることを目指して「ボラピューク語」を創造したのだが、エスペラント語などの他の人工言語の台頭によりボラピュークは忘れ去られてしまった。

 フランスではかつて、意味不明や支離滅裂な状況を表すときに「ボラピューク語を話す」との表現が使われていた。1962年に当時のドゴール大統領が記者会見で使ったのを最後に、この表現は公の場から姿を消している。(c)AFP