【1月23日 AFP】インドのマハラシュトラ(Maharashtra)州は、地域の現地語を話せるタクシー運転手にしか営業許可を認めない行政命令を発令したが、他地域出身者が多い州都ムンバイ(Mumbai)のタクシー組合などが強く反発している。

 州議会を中心にした動きによって、同州では現地語であるマラーティー語を話せない運転手にはタクシーの営業許可を認めない方針を打ち出した。しかし同州のタクシー運転手は、インドの他地域から商業都市ムンバイを目指してやって来た者が多く、州の決定は実質、そうした他地域出身者の排除を意味する。

 同市の運転手組合のなかで最も古いムンバイ・タクシー運転手組合(Mumbai Taximen's Union)のA.L. クアドロス(A.L. Quadros)書記長は「非民主的で、生活費を稼ごうとする人びとを攻撃する不当な命令だ」と怒りを表明した。運転手組合たちは現在、ストライキや法的手段による反撃を検討している。

 ムンバイではここ数年、野党のヒンズー系政党らが地元民の権利を擁護するとして、出稼ぎ労働者を排斥する運動を繰り広げている。

 今回の州政府の決定について、専門家の間では、そうした排斥運動の扇動者として知られるラジ・サッカレー(Raj Thackeray)氏率いる右翼団体マハラシュトラ新生軍団(Maharashtra Navnirman Sena)への世論の支持を抑制する試みだとの見方もある。(c)AFP