【1月14日 AFP】米インターネット検索大手グーグル(Google)が中国事業からの撤退を検討する事態となった同サイトに対するサイバー攻撃は、コンピュータープログラムのソースコードといった知的財産や、人権活動家に関する情報を収集する中国の活動の一環だったという見解を、米国のコンピューター・セキュリティの専門家が示した。

 コンピューター・セキュリティ関連の国際会議「ブラックハット(Black Hat)」やイベント「デフコン(DefCon)」の創始者で、米国土安全保障諮問会議(US Homeland Security Advisory Council)のメンバーでもあるジェフ・モス(Jeff Moss)氏は13日、「中国は自分の国益になるあらゆる情報を吸い上げようという戦略だ。グーグルのユーザーを標的にしたとしても私は驚かない」と語った。

 グーグルは12日、中国の人権活動家を標的にした「高度に洗練された」サイバー攻撃に抗議して、これ以上中国政府によるインターネットの検閲に屈しないと宣言し、中国事業からの撤退も検討すると明らかにした。

 一方、アドビ(Adobe)も13日、自社を含む複数の企業が管理するネットワークが9日に組織的なサイバー攻撃を受け、各社と共同で調査していることを発表した。30社以上が中国から同様のサイバー攻撃を受けたと報じられている。

 攻撃を受けた企業は、世界で広く使われているインターネット閲覧プログラムやテキストや動画の処理ソフトなどを作っており、公開されていないそうしたソフトの情報を利用したいサイバースパイにとって恰好の標的だとモス氏は指摘する。

 グーグルはサイバー攻撃の背後に中国政府がいると明言したわけではない。しかし、攻撃の洗練度や標的となった企業、攻撃が中国国内から行われたことから、同政府の関与があったものとみている。(c)AFP/Glenn Chapman