【12月10日 AFP】英国政府は9日、銀行に対する公的支援の埋め合わせのため、銀行員の2万5000ポンド(約360万円)以上のボーナスに対し、税率50%の1回限りの特別税をかけると発表した。アリステア・ダーリング(Alistair Darling)財務相が、議会に提出する中期財政計画の中で明らかにした。

 英国は、深刻な景気後退に直面しており、国家財政状況も悪化している。来年は総選挙が控えているが、与党・労働党は主要野党の保守党に敗北するとの見方が強まっている。このため、今回の特別税の発表は、世論を意識したものだと見られている。

 ダーリング財務相は、特別税の課税により、公的資金5億ポンド(約720億円)分を取り戻すことができると述べ、それを失業対策にあてるとしている。

 また、ダーリング財務相は、英国経済の今年の実質成長率をマイナス4.75%と発表。前回発表したマイナス3.5%から下方修正した。

 独立系コンサルタントのNational Institute of Economic and Social Researchによると、マイナス4.75%という成長率は「1921年以来最悪」としている。

 英国の国家財政は、銀行への救済策や不況による税収減などから、非常に厳しい状態となっている。(c)AFP/Ben Perry