【11月17日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が来日した際に天皇、皇后両陛下に深々とお辞儀をした写真が、米国で論争を巻き起こしている。米国大統領は、国家を代表する存在として海外でも常に毅然とあるべきだというのだ。

 オバマ大統領は、アジア歴訪の一環で13日から2日間の日程で日本を訪れ、14日に皇居を訪問した。この時に、オバマ大統領は天皇、皇后両陛下を前に、腰をほぼ90度に曲げて深々とお辞儀をした。この所作について、ワシントンの政治批評家の中から、米国をおとしめるものだとの批判が出ている。

 オバマ大統領がお辞儀をする場面は、テレビの政治トークショーでも繰り返し放映され、ブログやチャットもこの話題で炎上している。
 
 保守派論客ウィリアム・クリストル(William Kristol)氏は15日、米ニュース専門局FOXニュース(Fox News)の番組に出演し、「オバマ大統領は(お辞儀を)適切だと思ったのだろう。たしかに日本では通用するが、米国の大統領として、外国の君主に頭を下げるのは不適切だ」と述べ、お辞儀はオバマ大統領の下で米国が弱体化し自国を卑下していることの表れだとの認識を示した。

 保守派論評のなかには、オバマ大統領のお辞儀写真とディック・チェイニー(Dick Cheney)前米副大統領が2007年に天皇陛下に面会した際、お辞儀をせずに握手をしている写真を並列して、オバマ大統領を批判するものもある。

 クリストル氏も、「過去20年間に天皇と会見した海外の国家元首の写真を並べてみれば、誰もお辞儀はしていないはずだ」と話した。

 こうした批判に対し、オバマ政権側は米政治専門サイト「ポリティコ(Politico)」で、大統領は単に日本の慣習を順守しただけと説明し、この問題の政治化を試みる人びとの主張は全く的外れだと反論している。

 オバマ大統領は過去にも、ロンドン(London)で4月に開かれた主要20か国・地域(G20)の首脳会議でサウジアラビアのアブドラ・ビン・アブドルアジズ(Abdullah bin Abdul-Aziz)国王にお辞儀をしたとして批判されている。(c)AFP/Stephanie Griffith

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