【11月10日 AFP】ベルリンの壁(Berlin Wall)崩壊から20年を迎えた9日、ベルリン(Berlin)市内で記念式典が開かれた。式典には各国首脳らが参加し、10万人を超える市民らとともに祝意を表すともに、国際平和への脅威に対する大西洋を越えた取り組みを訴えた。

 今から20年前の1989年11月9日、旧東ドイツはついに東西を分断していたコンクリートの壁を開き、欧州での共産主義体制の終わりを決定づけた。

 旧東ドイツ育ちのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相は、ゴードン・ブラウン(Gordon Brown)英首相、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領、ドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)露大統領、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官のほか、欧州連合(European Union)加盟国の代表団らとともに、ドイツ統一のシンボルであるブランデンブルク門(Brandenburg Gate)をくぐった。

 冷たい霧雨が降る中、ミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)元ソ連大統領、ポーランドのレフ・ワレサ(Lech Walesa)元大統領も式典に参加した。

 メルケル首相は式典で、「ドイツ人だけの記念日ではなく、欧州全体の記念日だ」と述べた。

 式典では、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領の動画メッセージが映し出された。大統領は抑圧的体制に立ち向かった旧東ドイツ国民の勇気に今でも刺激を受けるとし、「統一ドイツが(旧東ドイツの)ブランデンブルク出身の女性によって、また、その同盟国である米国がアフリカ系男性によって率いられることを予測した人はほとんどいないだろう」「しかし、人間の運命は人間が作り出すものだ」と語った。

 一方、メドベージェフ露大統領は、冷戦の終結はいかなる国の世界的優位性を正当化しないと、明らかに米国をけん制する発言をした。「多極化した新世界への移行は今日、欧州さらには世界の大部分の国にとって非常に重要だ」と語った。

 同大統領はさらに、独誌シュピーゲル(Spiegel)に対し、ロシアはベルリンの壁崩壊当時は北大西洋条約機構(NATO)が東方に拡大することはないとの確信はあったものの、実際は拡大していることで、たびたび守勢な立場を感じることがあったと苦々しい思いを述べた。

 サルコジ大統領は、米ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)「フェースブック(Facebook)」である意外な事実を明らかにした。フェースブックへの投稿によると、サルコジ氏は1989年11月9日にベルリンの壁にかけつけ、崩壊を目の当たりにした最初の1人になったとしている。ただ、この話については一部から疑問の声もあがっている。(c)AFP/Deborah Cole