【10月29日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は28日、総額6800億ドル(約62兆円)の2010会計年度(2009年10月~10年9月)国防権限法案に署名し、同法は成立した。

 オバマ大統領は、自らが進めてきた国防予算の無駄を削る取り組みは、米政治の変革が可能であることを証明したと語った。一方で、この法案は完全ではなく、国防予算の無駄をなくす努力は今後も続けていくと強調した。国防予算には通常、各議員が出身州のために進めてきた予算項目が多く含まれている。

 ロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官は、今後予定されている各種の支出法案でも国防予算削減を進めていくことをあらためて確認した。

 国防権限法案は、米国防総省が提出した予算要求の大半を承認した。上院と下院とによる妥協を反映しているが、議員らはオバマ大統領が当初ちらつかせていた拒否権行使の脅しにも屈せず、F35戦闘機の代替エンジン開発費用として5億6000万ドル(約508億円)を予算化した。

 一方で、F22戦闘機については、オバマ政権側の意見が通り、187機分の追加調達案が退けられ、4機分のみが予算化された。

 また、米軍の「未来の防衛システム(Future Combat Systems)」分野でも、高性能軍事車両や航空機搭載レーザー関連予算の削減が決まったほか、過剰な国防予算の象徴とされた大統領専用ヘリコプター導入予算も削られた。

 兵士給与は3.4%引き上げられたほか、耐地雷・待ち伏せ攻撃防護装甲車(MRAP)予算として、オバマ政権の計画から12億ドル(約1090億円)も上回る67億ドル(約6080億円)が計上された。アフガニスタン軍・警察への装備提供費や訓練費用としても約75億ドル(約6800億円)が計上された。

 同法案には、「憎悪犯罪(ヘイトクライム)」の対象を同性愛者などに拡大する条項も盛り込まれている。(c)AFP