【9月27日 AFP】ベネズエラで開催されている南米・アフリカ首脳会議(サミット)(Africa-South America SummitASA)で26日、リビアの最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐が、「南半球版・北大西洋条約機構(NATO)」を2011年までに創設するという挑戦的な構想を呼び掛けた。

 前週、国連総会で95分にわたって演説し、「国連安保理は名称を『テロ理事会』に変更すべき」などと発言し、欧米大国を酷評したカダフィ大佐は、欧米の軍事ブロックに対抗するため、2011年までに「南半球版NATO」創設を強力に推進していくと述べた。

 非欧米諸国同士の関係強化を探っている開催国ベネズエラのウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領は、カダフィ大佐を「わが兄弟」と呼び、「われわれの団結によって均衡の取れた世界が築かれるだろう」と称賛した。カダフィ大佐は40年前にリビアの最高指導者に就任して以来、南米を訪問したのは今回が初めて。

 サミット開催に先がけ、ベネズエラ国営メディアは、長年米国と欧米諸国を敵視してきたカダフィ大佐とチャベス大統領の両者が28日、8分野に関する協力協定に調印する見込みだと報じた。

 今回の同サミットの中心議題は、南米およびアフリカにおけるエネルギー・インフラの開発や石油開発協力だが、最後に発表される共同宣言では、そのほかにも多くの共同の取り組みが盛り込まれると予想されている。

 ベネズエラのラファエル・ラミレス(Rafael Ramirez)エネルギー・石油相は「南米でもアフリカでもすべてのエネルギー・インフラは、われわれの国を衛星国としている工業先進国のニーズを満たすために設計され、開発されたものだ」と述べ、南米とアフリカは協力して、各国別の独自インフラの構築をめざすだろうと述べた。

  同サミットは2006年にナイジェリアで初めて開催され、今回2回目はベネズエラ有数のリゾート地マルガリータ(Margarita)島で行われている。ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)大統領、アルゼンチンのクリスティナ・キルチネル(Cristina Kirchner)大統領、ジンバブエの(Robert Mugabe)大統領、コンゴ民主共和国(旧ザイール)のジョゼフ・カビラ(Joseph Kabila)大統領などが南米・アフリカの30か国を超える国家元首が出席。

 サミットではまた、クーデターによる政治的混乱が続くホンジュラス情勢についても特に時間が割かれ、「憲法にのっとって選ばれたホセ・マヌエル・セラヤ(Jose Manuel Zelaya)大統領の政権復帰を即刻に求める」共同宣言がチャベス大統領によって発表された。

  また、次回2011年の南米・アフリカ首脳会議の開催地はリビアとなることも発表された。(c)AFP/Javier Tovar