【9月25日 AFP】日米欧に中国やインドなどの新興国を加えた20か国・地域(G20)首脳会議の常設化が25日決まったが、新たな国際的な枠組みの時代の幕開けを、すべての国が歓迎しているとはいえない。

 G20常設化は、先進国のみが集まる主要8か国(G8)首脳会議(サミット)の役割を低下させることになるが、G8を強く擁護する国もある。特に日本がそうだ。

 国際的な関心が中国に移行する中、アジアで唯一のG8参加国である日本は、G8の場を活用して国際社会で責任ある大国として示してきた。日本は、長年にわたって国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指していたが、中国に阻止されてきたとして不快感を示している。

 前週新政権が発足したばかりの鳩山由紀夫(Yukio Hatoyama)首相は、G20常設化に反対はしなかったものの、熱心な様子も見られなかった。

 日本政府高官によると、24日にバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が主催した夕食会で鳩山首相は、(G20は)多くの国が参加して最終意見の調整が難しくなるために、事前の準備が必要になるだろうと語ったという。

 さらに鳩山首相は、そのような状況下では会談が官僚主導になりかねないと述べたという。鳩山首相は、リーダーシップを発揮するのは首脳でなければならないと語った。

 しかし、明治大学の西川伸一教授(政治学)は、変化は必然だったと述べる。西川教授は、「中国やインド抜きに国際的な問題を協議するのは非現実的」と述べ、この変化は「1つの時代の終わりを反映したもの」であり、日本の存在感は衰えるかもしれないが、だからといって避けることはできないものだと語った。

 G20に乗り気でないのは、日本だけではない。スペインやオランダは、欧州委員会(European Commission)を代表しているとはいえ、G20に自国の席がないことに対して疑問を投げかけている。

 また、世界トップ20の経済力を持つとみられることも多い台湾も、中国が台湾を自国の領土の一部と主張していることから、G20に参加する可能性はほとんど無いとみられている。

 しかし、それ以外の国々は、これまでよりも大きな役割を獲得したことを歓迎している。

 オーストラリアのケビン・ラッド(Kevin Rudd)首相は、記者団に対し、「(G20は)世界経済を将来に向けて強化するための重要な会議であり続けるべきだ」と述べ、「われわれに直接影響のある世界経済の管理運営を決定するにあたり、G20はオーストラリアにも発言権をもたらすものだ」と語った。(c)AFP/Shingo Ito