【8月20日 AFP】訪朝したビル・クリントン(Bill Clinton)元米大統領が目撃したのは、健康状態が危惧されていた金正日(Kim Jong-Il)総書記(64)の「思いがけず活発な」様子だった――米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙は19日、政府高官のこのような談話を報じた。

 同紙が匿名で伝えた高官の話によると、今月初旬に北朝鮮を訪問したクリントン元大統領が見た金総書記は、約1時間にわたる会談中も、また2時間以上に及んだ夕食会の間も、きびきびとした様子だったという。

 金総書記は前年に脳卒中を起こしたと言われており、以後に公開された写真でも衰弱した姿が見られたため、専門家らの多くは北朝鮮が後継者問題に直面し、それが核実験を含む一連の挑発行動の背景にあると分析していた。

 しかしクリントン氏によると、会談に際しての金総書記は「思いがけず活発」で、夕食会の後に「夜型人間」のクリントン氏を歓談に誘ったほどだったという。また会談にあたっては、6か国協議の前北朝鮮首席代表の金桂冠(キム・ゲグァン、Kim Kye-Gwan)外務次官ら、金総書記に解任されたと米情報当局がみていた高官2人を伴って登場し、指導者としての健在ぶりを示したという。

 この高官によると、クリントン氏の訪朝は米国人女性記者2人の釈放に目的を絞っており、金総書記とは「雑談」程度の会話しか交わず、核問題についてもほとんど話さなかった。また、「北朝鮮の態度に対する米国側の認識を変えるようなことも聞かなかった」という。(c)AFP