【7月11日 AFP】イタリアのラクイラ(L'aquila)で開催された主要8か国(G8)首脳会議(ラクイラ・サミット)は10日、国際的な経済不況から気候変動、イラン情勢まで幅広く協議した3日間の日程を終え、閉幕した。主な合意事項は次のとおり。

■気候温暖化

 G8では温室効果ガスの世界全体での削減目標を「2050年までに50%削減」と設定し、その大半を先進国が受け持つことを宣言した。

 また、地球上の平均気温を産業革命以前の18世紀よりも2度高い水準に抑制するという目標を、中国、インドなど新興国との共同宣言に記した。

 一方で、こうした目標の達成手段については具体的に示されず、また貧困国の気候変動への対応をいかに支援するかという点でのこう着状態も打開されなかった。

■経済危機

 G8首脳は株市場の回復など、危機に陥った世界経済に「安定化の兆し」を見い出してはいるが、「経済、金融の安定には依然極めて重大なリスクがある」との認識で一致した。
 
 しかし、今後どんなステップが必要かについては共通認識が少なかったとみられ、共同宣言では「出口戦略は経済状況、国家財政によって異なる」と記された。

 ロシアは、出口戦略を考えたり、経済刺激策から力点を移すことが現時点で適切かどうかについては各国の意見が分かれた、と明かしている。

■貿易

 G8と新興6か国の首脳は、世界的な経済不況の影響を緩和する手段として、保護貿易を回避すべきだという点を確認し、市場開放を促進し、貿易・投資において保護主義を拒否することで一致した。
 
 またG14は、新多角的貿易交渉(ドーハラウンド、Doha Development Round)で
の2010年の妥結に向けて、野心的かつ均衡の取れた結論を求め取り組むことで一致した。

■食料安全保障

 G8は食料援助から自助努力支援に食料安全保障の軸足を移し、世界の食糧生産に総額200億ドルの支援を打ち出した。

 米国は農業・食料支援について3年間で35億ドルの拠出を約束、カナダ、フランス、日本も支援を約束した。

■イラン

イラン大統領選後の混乱に「深刻な懸念」を表明しつつ、同国の核問題については平和的解決を目指す決意を首脳宣言に示した。

■北朝鮮

5月25日に北朝鮮が行った再核実験や、同国による一連のミサイル発射については、「一連の国連決議に関する言語同断の違反」と表現し、「最も強い表現で非難する」と首脳宣言に明記した。

(c)AFP