【7月6日 AFP】(一部更新、写真追加)米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)によると、元米国防長官のロバート・マクナマラ(Robert McNamara)氏が6日、米ワシントン(Washington)の自宅で睡眠中に死去した。93歳だった。マクナマラ氏はケネディ政権、ジョンソン政権の下で国防長官を務め、ベトナム戦争を指揮した。

 1916年6月9日、マクナマラ氏はサンフランシスコ(San Francisco)の靴卸商店の販売マネージャーの家に生まれた。

 カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)に進学し経済と哲学を専攻。その後、ハーバード大(Harvard University)でMBA(経営学修士号)を取得している。

 1943年、米空軍に入隊したが、視力が低かったため航空機を操縦することはなく、爆撃効果などの分析を担当した。第二次世界大戦が終結すると、自動車大手フォード(Ford)に入社し、1960年には創業者以外では初の社長を務めた。

 1961年に国務長官に就任。ケネディ、ジョンソン両政権の下で、ベトナム戦争の戦略立案などを主導。米国史上、最大の軍事的失態とされるベトナム戦争で、米国の軍事介入を積極的にすすめた。

 しかし、68年に同職を辞任。ジョンソン大統領や軍幹部との確執や、高まる反戦運動が原因と言われている。その後は、81年まで世界銀行(World Bank)総裁を務め、開発途上国の援助に尽力した。

 後にマクナマラ氏は、1995年に記した回顧録『マクナマラ回顧録 ベトナムの悲劇と教訓(In Retrospect: The Tragedies and Lessons of Vietnam)』のなかで、ベトナム戦争での自身の役割を後悔していると告白。「米国側の思いこみによるベトナム観に基づいた戦略は大きな間違いだった」と述べ、この過ちを将来の世代への教訓とすべきだと説いている。

 1975年に終結したベトナム戦争では、米国側の犠牲者は5万8000人を超えた。だが、南北ベトナムでは300万人以上、隣国のラオスおよびカンボジアでは150万人が死亡している。(c)AFP