【6月29日 AFP】(写真追加)改憲の是非を問う国民投票を控えていた中米ホンジュラスで、ホセ・マヌエル・セラヤ(Jose Manuel Zelaya)大統領が28日早朝、首都テグシガルパ(Tegucigalpa)の官邸を包囲した同国軍に拘束され、軍の航空機でコスタリカのサンホセ(San Jose)に追放された。

 サンホセ郊外の国際空港で記者会見したセラヤ大統領は、自分はまだホンジュラスの大統領だと主張し、これは政治的陰謀による誘拐だと非難した。しかし、その数時間後、ホンジュラスの議会は議長を暫定大統領に指名した。

 ホンジュラスでは大統領の再選は禁止されているが、2期目を目指し憲法改正に動いていたセラヤ大統領と、それに反対する軍および裁判所との間で政治的対立が続いていた。議会は「明白な不正行為」と「度重なる憲法と法律への違反、裁判所の命令への不服従」を理由に全会一致でセラヤ大統領の解任を決め、来年1月までの残りの任期を務める暫定大統領にロベルト・ミチェレッティ(Roberto Micheletti)議長を任命した。

 ホンジュラスの総選挙は11月29日に予定されている。ホンジュラスの大統領任期は4年で再選は禁止されているが、2005年の大統領選で当選したセラヤ氏は11月の選挙で自らが立候補することを可能にする憲法改正の是非を問う国民投票を28日に実施するとしていた。

 同国の最高裁判所はこの国民投票は違法との判断を下し、軍も反対していた。しかしセラヤ大統領は強行する姿勢を崩さず、すでに投票箱も各地に送られていた。最高裁判所は28日、法と秩序を維持するためとして大統領の国外追放を命じた。

 セラヤ氏は大統領に当選した当時は保守的だったが、その後左傾化し、最近ではベネズエラのウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領などと同じく、大統領権限強化と再選制限撤廃のため憲法改正を目指していた。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は声明でこの事態に深い憂慮を示し、EUもセラヤ大統領の解放を求めた。(c)AFP/Ana Fernandez