【6月26日 AFP】イラン総選挙の結果に抗議する改革派のデモを見学中に銃撃され死亡し、今や「抗議のシンボル」となっているネダ(Neda Agha-Soltan)さんを撃った人物について、現場に居合わせてネダさんを介抱したというイラン人医師が25日、革命防衛隊傘下の民兵組織「バシジ(Basij)」のメンバーだったと語った。
 
 やはり抗議デモを見物にきたというこの医師が英BBCに話したところによると、デモ隊が大通りにさしかかった時、オートバイに乗った治安部隊が群衆に向かって走ってきて催涙弾を投げるなどし、あたりは騒然となった。その中で銃声が聞こえたという。

 医師が振り返ると、1メートルほど離れた場所でネダさんが胸から血を流してぼうぜんと立っており、近くにいた人たちが駆け寄って地面に横たえた。

 現場にいた人びとは、付近にオートバイに乗ったバシジの民兵を見つけて取り押さえたところ、この民兵は「彼女を殺したかったわけではなかった」と叫んでいたという。その後、男性の処遇に困った人びとは、身分証明書を取り上げて写真を撮ったあと、男性を解放したという。 

■強硬派は責任回避に躍起

 一方、イラン強硬派は、ネダさんの死をめぐって国際的に高まっている批判の矛先を変えようと、躍起になっている。国営ファルス(Fars)通信は25日、銃を不法所持した何者かが通りで銃を乱射し、そのうちの1発がネダさんに当たったとする捜査結果を発表した。

 また、マフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領寄りのVatan Emrouz紙などは、21日に国外退去処分になったBBCのジョン・レイン(Jon Leyne)特派員が、「ドキュメンタリーの見せ場を作るために殺し屋を雇って一般人を殺害した」との批判を展開している。(c)AFP