【6月23日 AFP】大統領選の結果をめぐり混乱が続くイランの首都テヘラン(Tehran)で、インターネットに掲載されたデモを見学中に撃たれて死亡したとされる少女が流血する画像が抗議デモのシンボルとなっている。イラン政府に対しては、外国メディアからも圧力が高まっている。

 20日にインターネット上に投稿された鼻と口から流血する少女の画像は世界中で数十万回再生された。これまでのところ少女については、「ネダ(Neda)」という名前しか明らかになっていない。

 国際メディアが動画から撮影した写真を見た人たちからブログやツイッター(twitter)への書き込みが殺到。その多くはイランの強硬的な政府を批判する内容だ。

 ネダを追悼するデモをテヘラン市内のハフテ・ティール広場(Haft-e Tir Square)で行おうとの呼び掛けがネット上で広がったが、警察当局は22日、約1000人が参加した同広場での集会を強制的に解散させた。

 故パーレビ国王(Shah Mohammad Reza Pahlavi)の息子は同日、米ワシントンD.C.(Washington D.C.)で開いた記者会見で、自分の家族の写真とともにネダの写真をポケットから取り出し、「彼女(ネダ)をわたしの娘たちの1人に加えた。彼女は永遠にわたしのポケットの中にいるだろう」と懸命に涙をこらえながら語った。

 動画は20日に父親とともにテヘランの通りでデモを見ていたネダが胸を撃たれた後の様子を映し出しているとされる。ネダが倒れた直後、ジーンズに黒いジャケットをはおり、イスラム教のスカーフを巻いたネダの近くにいた人たちは彼女にかけよった。目がうつろになったネダの顔には血が広がり、人びとは叫び、白髪の男性は「大丈夫だ、大丈夫だ」と必死にネダに話しかけていたという。

 最初にユーチューブ(Youtube)やフェースブック(Facebook)に動画を投稿した人びとは、ネダは政権側民兵に撃たれたと語っている。だが、ネダの生死や身元については、現在インターネット上の情報のみで、第3者による確認は行われていない。(c)AFP