【6月16日 AFP】英国のゴードン・ブラウン(Gordon Brown)首相は15日、英国がイラク戦争参戦に至る経緯や、その後のイラク政策を検証する独立調査委員会の設置を発表した。

 6年前の2003年、当時のトニー・ブレア(Tony Blair)首相は、多くの論議を呼びながらも米国のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領が主導するイラク戦争への参戦を決定した。

 ブラウン首相の説明によると、「前例をみない」独立調査委員会が検証対象とする期間は、英国政府でイラク参戦の検討が始まった時期から、翌月に迫った駐留英軍4100人のイラク撤退期限までの8年間。

 ブラウン首相は、「国家安全保障」上の観点から聴聞会は非公開で行うとしたことから、野党議員や反戦団体などからは、早くも「隠ぺい工作だ」と反発の声が上がっている。

 野党・自由民主党(Liberal Democrats)のニック・クレッグ(Nick Clegg)党首は、独立調査委を「首相が選んだ一握りの委員によって行われる秘密調査」と一蹴。議事堂前で抗議運動に参加していた19歳の男子学生も、「国民の大多数の反対を押し切ったイラク参戦は、英国民主主義に対する冒とくだ」と批判した。

 一方、ブラウン首相は聴聞会を非公開とすることで、「現職および当時の閣僚、軍関係者などから幅広く証言が得られ、検証は完全で率直なものとなると確信している」と語った。

 独立調査委の立ち上げは7月以降となる見通しで、約1年をかけて調査を実施する。聴聞会の開催は、多くの議員が夏季休暇を終えた10月となる可能性が高い。(c)AFP/Katherine Haddon