【6月15日 AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は14日、テルアビブ(Tel Aviv)に近いラマトガン(Ramat Gan)にあるバルイラン大学(Bar-Ilan University)で演説し、非武装ならばパレスチナ国家の樹立を認めると述べた。ネタニヤフ首相がパレスチナ国家樹立を認めたのは初めて。

 同時にネタニヤフ首相はパレスチナ側がイスラエルをユダヤ人国家として認めなければならないと述べた。パレスチナはオスロ合意に従って1993年にイスラエルを承認したが、パレスチナ難民が帰還する権利を維持するため、イスラエルをユダヤ人国家としては認めていない。

 パレスチナ難民の帰還は1948年のイスラエル建国以来パレスチナ側が掲げてきた主要な要求の1つで、パレスチナ自治区のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長はイスラエルをユダヤ人国家として認めることを拒否してきた。パレスチナ側は中東和平プロセスを破壊するものだとしてネタニヤフ首相の演説を非難した。

 米国はここ数週間、ユダヤ人によるヨルダン側西岸地域の入植活動を停止するよう圧力をかけていたが、ネタニヤフ首相はこれを拒否し、パレスチナ難民がイスラエル国内に戻ることないだろうと述べた。

 ネタニヤフ首相の演説は、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が4日にエジプトのカイロ(Cairo)で行ったイスラム社会全体に向けた演説で米国とイスラエルの間には壊すことのできないきずながあるが、パレスチナをめぐる状況は容認できないと語ったことへの返答と位置づけられていた。

 主要なユダヤ人入植者団体Yesha Councilは「仮に非武装であってもパレスチナ国家はイスラエルにとって脅威だと主張してきたネタニヤフ氏が、非武装のパレスチナ国家樹立を認めたことは残念だ」という声明を発表した。

 3月末に就任したばかりのネタニヤフ首相は、米国の要求を受け入れすぎれば国内の反対派からの圧力で政権が崩壊しかねず、難しい立場に立たされている。(c)AFP/Ron Bousso