【5月22日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は21日、国家安全保障について演説し、公約通りキューバのグアンタナモ(Guantanamo)米海軍基地のテロ容疑者収容施設の閉鎖を実行する方針を改めて表明した。

 前日、米上院は収容施設の閉鎖費用や収容者の移送費への支出を認めない補正予算案を賛成多数で可決。民主・共和両党の議員らはそろって収容者の米本土への移送に懸念を示した。

 こうした動きに対し、オバマ大統領は、収容施設の設置は「失敗した間違った試み」だと指摘。イデオロギーやテロへの恐怖感に基づいたブッシュ前政権の対テロ政策を非難した。

 また、危険度の高い国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の元メンバーらについては、米国内でも最も警備の厳重な刑務所に確実に移送すると表明。「テロリストは、組織を拡大し米国を同盟諸国から孤立させない限り、成功はできない。われわれ米国民が米国民たることに忠実であれば、決してそれは実現しない」と述べた。

 その上で、グアンタナモの収容施設が米国のイメージを損ねたとして、1年以内に施設を閉鎖する方針を改めて強調した。

■チェイニー前副大統領と真っ向対決

 一方同日、ディック・チェイニー(Dick Cheney)前米副大統領は米有数のシンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(American Enterprise Institute)で行った講演で、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前大統領の政策を強く擁護。拷問との批判を受けているCIAの過酷な尋問手法や、米法規を超越したグアンタナモの収容施設の設置を改めて正当化し、「同じ状況になれば、また同じことをする」と述べた。

 また、グアンタナモに収容されている「最悪のテロリスト」らを米国内に移送することは「大きな脅威となる」と指摘。オバマ政権がブッシュ前政権やCIAの関係者の「魔女狩り」を行おうとしていると警告した。講演は全米にテレビ中継された。(c)AFP