【4月6日 AFP】世界で核攻撃のリスクへの懸念が高まる中、北朝鮮が核弾頭の搭載可能ロケットを発射した翌6日、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、欧州連合(EU)との初の首脳会議のため訪問中のチェコの首都プラハ(Prague)で、「核兵器のない世界」の実現に向けて世界をけん引してゆくことを誓った。

「核なき世界」というオバマ氏の提唱は、米国内外での支持を固められるかどうかにかかっている。

 オバマ大統領はこの日行った演説の中で、核兵器の備蓄量や核分裂物質生産量などの削減計画を明らかにし、核実験をただちに禁止したいとの意向を示した上、米議会では包括的核実験禁止条約(Comprehensive Test Ban TreatyCTBT)の批准を目指すと述べた。

 また、2010年中に核兵器または核兵器開発技術を有していると思われる国々による核安全保障サミットを開催したいとも提唱した。
 
 CTBT準備委員会(本部ウィーン)は、オバマ大統領のこうした姿勢を歓迎している。同委員会の広報担当者は「(核廃絶に関し)米国がリーダーシップをとることが重要。うまくいけば、他の当事者たちを動かし追随させられるだろう」とコメントした。

 核拡散防止問題の米国人専門家ジョセフ・シリンシオーネ(Joseph Cirincione)氏はAFPに対し、オバマ大統領の誓いは、冷戦時の抑止力としての核兵器の備蓄量削減にあまり積極的とは言えなかったこれまでの政権からの「変革」を印象づけるものだと語った。

 同氏はまた、オバマ大統領が、米国が先例を示すと明言した上で核安全保障サミットを提唱した点について、「核保有国を言い訳できない状況に追い込むと同時に、米政府が『ならず者国家』に圧力をかける上で支持を得たい国々の信頼を勝ち取ることができる」と評価した。

 米国への信頼感が高まれば、例えば大量破壊兵器の拡散阻止を目指した「拡散防止構想(Proliferation Security InitiativePSI)」への参加国が増え、北朝鮮のミサイル技術移転が阻止するなど、国連(UN)の制裁決議が厳格に履行される助けにもなるという。(c)AFP/Lachlan Carmichael