【3月20日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は20日、イラン国民に直接訴えかける歴史的なビデオメッセージを公開し、両国間のさまざまな相違点の解消と「誠実な」関係の構築を求めた。

 就任からわずか2か月のオバマ大統領が発表した、最も明確な外交政策の1つとなったが、大統領はイランとの「建設的関係」の構築に向け米政府は積極的に努力していくと訴え、テロ行為をやめて平和を受け入れるならイランは国際社会で「正当な立場」を得ることができると強調した。

 米国とイランは1980年以降、外交関係がなく、オバマ大統領は今回のメッセージで、数十年間にわたる不信と敵意に満ちた関係からの転換を模索している。

 オバマ大統領は、同日から始まるイラン暦の新年「ノールーズ(Nowruz)」を記念してメッセージを発表したが、新年の祝いを「新たな始まり」と呼び、誠実さと相互尊重に基づいた関係を築く新時代の必要性をイラン指導部に明確に伝えたいと強調した。

 一方で、米国が非難しているイランのテロ国家支援や核開発については特に言及せず、「米国はイランが国際社会で正当な立場を得ることを望んでいる」と述べた。

 オバマ大統領のメッセージは、イラク、北朝鮮とともに、イランを「悪の枢軸」と呼んだジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前大統領の強硬路線からの大転換となった。

 メッセージはさらに、イラクからの全面撤退、アフガニスタンでの旧支配勢力であるイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)の掃討作戦、中東地域でのイスラエルと周辺国の和平交渉など、米国が抱えるいくつもの難題において、イランが主要な役割を果たすことを暗に認めたことになる。(c)AFP/Laurent Lozano