【2月25日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が24日に連邦議会の上下両院合同会議で行った就任後初の施政方針演説は、声援やスタンディングオベーション、また笑いややじに満ちた1時間となったが、そこでオバマ大統領は、これから始まる政治闘争の一端を垣間見たに違いない。

 就任後5週目に行われたオバマ大統領の初の施政方針演説は、議会を埋めつくした議員らを30回以上にわたり起立させたが、一方で、共和党と民主党との間にある深い溝を改めて浮き彫りにした。

 議員らが一斉に立ち上がって最大の拍手を送ったのは、オバマ大統領が高校を中退する若者らについて「自分自身をあきらめるだけでなく、自分の国をもあきらめることになる」と戒めた時だった。

 また、オバマ大統領が総額1兆ドル(約97兆円)に上る景気対策の監督役に、不屈の精神を持ったジョー・バイデン(Joe Biden)副大統領を命じたことについて、「ジョー(バイデン副大統領)に干渉しようという人は誰もいないから」と述べた際には、党派を超えた笑いが起きた。

 だが、大半の共和党議員の支持なしで成立した、総額7870億ドル(約76兆円)規模の景気対策法、および子どもに医療保険を与える法律に言及した際には、立ち上がって拍手や声援を送ったのは民主党議員だけだった。共和党議員は、景気対策法について、規模が大きすぎていて財政の無駄遣いとなり、すでに1兆ドル目前の財政赤字がさらに膨らむと非難している。

 これに対し、オバマ大統領が「われわれが相続した赤字」と述べ、共和党のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前大統領から受け継いだものであるという点に触れると、民主党議員は立ち上がって喝さいを送った。

 続いて、オバマ大統領が、景気対策法に無駄はないと主張すると、共和党議員がブーイングや嘲笑を送ったり、「ノー!」と大声でやじを飛ばすなどしたため、大統領が声を張り上げる一幕もあった。

 疑念や声高な反発も浮上しているものの、オバマ大統領は1月20日に黒人初の米大統領に就任して以来、依然として政界のスターであり続けている。(c)AFP/Olivier Knox