【2月18日 AFP】(一部追加、写真追加)麻生太郎(Taro Aso)首相は18日、ロシア極東のサハリン島(Sakhalin Island)を訪問し、ドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領とともに、同国初の液化天然ガス(LNG)工場の稼動式典に出席した。アジア太平洋地域におけるエネルギー輸出国としてのロシアの役割は、同工場によって大きく拡大するものとみられる。

 メドベージェフ大統領は式典で、「(工場の開設は)世界のエネルギー市場におけるロシアの立場を強化するものだ」と述べた。

 麻生首相は、日露の新たなパートナー関係のスタートを強調する一方で、長年の懸案事項となっている北方領土問題を前進、解決に導き、真の日露パートナー関係を築きたいと抱負を語った。

 麻生首相のロシア訪問の背景には、石油ガス資源の中東依存から脱したいとの狙いがある。

 日本の首相が戦後、サハリン島を訪問するのは、麻生首相が初めて。

 かつて南サハリンは日本の領土だったが、第2次世界大戦後、数十万人が島を脱出している。

■石油・ガス開発プロジェクト「サハリン2」

 石油・ガス開発プロジェクト「サハリン2(Sakhalin-2)」の事業主体「サハリンエナジー(Sakhalin Energy)」によると、LNG工場では、全世界の液化天然ガス生産量の5%に当たる年間980万トンを生産する見込みで、その65%が日本向けで、残りが韓国、米国向けとなっている。

 同工場の開設は、日本企業も参加する200億ドル(約1兆8486億円)規模の石油・ガス開発プロジェクト「サハリン2」の頂点を飾るものだ。

 同プロジェクトに関しては、資本参加していた英蘭石油大手ロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)がロシア政府から環境法違反などを指摘され、2007年に「サハリン2」株式の51%をロシア政府系の天然ガス独占企業ガスプロム(Gazprom)に譲渡。経営権はガスプロムに移っている。

 残りの株式保有率は、ロイヤル・ダッチ・シェルが27.5%、三井物産(Mitsui)が12.5%、三菱商事(Mitsubishi)が10%となっている。(c)AFP/Alexander Osipovich