【2月11日 AFP】(一部更新)メキシコ市(Mexico City)の議会で10日、かつてメキシコに存在したベルメハ(Bermeja)島の展示会が開かれた。メキシコ政界では、約10年前にこつぜんと姿を消したこの島の行方を探ろうとする動きが活発化している。この島は石油の利権に絡んでいたこともあり、「行方不明」の原因についてさまざまな憶測が飛び交っている。

 かつてメキシコ湾にあった、ベルメハ島は、メキシコ・米国間の海の境界や海底資源開発権を決定する上で、メキシコ側に有利な位置にあった。しかし付近の大規模な油田開発に関する相互条約が約10年前に無効になり、時期を同じくして、島も消えてしまった。

 エリアス・カルデナス(Elias Cardenas)議員によると、島が消えた原因には、地球温暖化による海面上昇説と、周辺海域での石油とガス資源を狙って米中央情報局(CIA)が爆破したとの陰謀説があるという。

■不可解な油田開発停止条約

 この島は海抜が低く、面積は80平方キロと小さいながらも、30年前までは公式に陸地と認められており、メキシコの200カイリ経済水域もこの島を基準に設定された。だが島がなくなったため、現在はAlacranes諸島が基準とされているが、経済水域は大幅に縮小してしまった。

 2000年6月、メキシコと米国は、ベルメハ島付近の海域での油田探査・開発を10年間停止する条約を締結した。カルデナス議員はこの経緯に関する情報を一切持っていないという。条約は、再来年2011年に期限切れを迎える。

■1997年には消えていた

 島は、古くは1669年の地図に掲載されていた。内務省の地図帳に掲載されたのは1998年になってからのことだが、その前年に海軍が実施した調査で、島は存在しないことが報告されていた。

 AFPの取材に対し、外務省からの回答はない。条約について協議されていたころ外務省法律顧問だった人物が前年6月、上院で島は現在海面下40-50メートルにあると説明したが、その後複数の上院議員らが、「自然の力で島が沈んだとしても、誰も気付かないということはありえない。埋蔵量220億バレル以上の油田がそばにあるのだからなおさらだ」との声明を発表している。

 議員らは、フェリペ・カルデロン(Felipe Calderon)大統領に対し、なぜ島が沈んだのかを説明するよう求めている。(c)AFP