【1月23日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は22日、キューバのグアンタナモ(Guantanamo)の米海軍基地にあるテロ容疑者収容施設の1年以内の閉鎖と、テロ容疑者の尋問に拷問のような方法を用いることを禁止する大統領令に署名した。これらの決定は、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前大統領の政策を明確に拒絶したものといえる。

 オバマ大統領が署名した大統領令では、米国の捜査当局に対し、拷問だとの批判も出ている虐待的な方法を用いた尋問を止めるよう命じているほか、米本土で拘束されている唯一の「敵性戦闘員」である、カタール国籍のAli Saleh Kahlah al-Marri被収容者の問題についても、見直しを命じた。

 一方で、オバマ大統領は、これまで数年間にわたってグアンタナモの収容施設に収容されてきたテロ容疑者を今後どう扱っていくのかという問題については解決策を示さなかった。グアンタナモには、起訴されないまま拘束されている収容者や裁判中の収容者などもいるが、最終的に何人が起訴もしくは解放されるのかは明らかにされなかった。

 グアンタナモの収容施設には、2002年1月11日の開設以来、800人以上のテロ容疑者が収容され、現在も約245人が収容されている。ブッシュ前政権に批判的な人びとからは、テロとの戦いの下で行われた虐待と憲法違反の象徴とされている。(c)AFP/Stephen Collinson