【12月11日 AFP】マイケル・マレン(Michael Mullen)米統合参謀本部議長は10日、景気減速によって国防総省の予算が削減される可能性があるとして、米空軍の最新鋭ステルス戦闘機「F22ラプター(Raptor)」の生産計画に疑問を呈した。 

 マレン議長は、国防総省内で記者団に対し、「軍や国防総省にとっても、予算の圧縮・削減は重要だ。コスト意識に欠けた計画が多く存在しており、中止なども含め計画の絞り込みが必要だ」と述べた。

 その上でF22に言及し、すでに183機を保有している米空軍が65機の追加発注を検討していることを明らかにするとともに、「あまりに高価なシステムだと懸念している」と語った。

 米航空宇宙機器大手ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)と同ボーイング(Boeing)が共同生産するF22は、最新鋭機だが、1機あたり3億5000万ドル(約320億円)と生産コストが高く、これまでの配備でかかった費用は650億ドル(約6兆円)。ロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官を始めとするF22批判派は、F22ではイラクやアフガニスタンでの戦闘ような非正規戦には不適格だと指摘している。

 これに対し米空軍幹部は、F22は中国などの米国の潜在的な敵国との戦闘には適した機体だとして、F22計画を擁護。有力議員も、F22計画が全米で数千人の雇用を確保されていることから、計画の中止には消極的な姿勢を見せている。(c)AFP