【11月24日 AFP】(一部更新、写真追加)政情の混乱が続くタイの首都バンコク(Bangkok)で24日、反政府団体の支持者ら数千人が、上下院の合同議会の開催を阻止するとして国会議事堂や政府関係機関の建物を包囲。チャイ・チッチョープ(Chai Chidchob)下院議長は、議員が登院できないことを理由に議会の延期を発表した。

 タイ国会は、同日午前9時半(日本時間11時半)から合同議会を開催し、憲法改正について審議する予定だった。

 これに対し、反政府団体「民主市民連合(People's Alliance for DemocracyPAD)」の支持者らは、8月末から占拠を続けている首相府を早朝に出発。警察によると、約1万8000人のデモ参加者らが、同日午前7時40分(日本時間同9時40分)までに、議会に続く3本の道路すべてを封鎖した。タイのテレビ局映像によると、PAD支持者の一部は財務省やバンコク警視庁本部も包囲している。

 デモ参加者らは、タイ王室への敬意を示す黄色のTシャツを着用し、タイ国旗やプミポン・アドゥンヤデート(Bhumibol Adulyadej)国王の顔写真を掲げ、プラスチック製の手のひら型カスタネットを鳴らして気勢を上げている。目撃者によれば、黒いTシャツ姿に手製の警棒で武装したPADの自警団メンバーもデモ行進に加わり、支持者らを護衛しているという。

 PADは、国会包囲を6か月間にわたる政府退陣を求める抗議行動の「最後の闘い」と位置付けている。

 PADのデモでは前月7日に警官隊との衝突で死者2人、負傷者500人が出ており、政府関係者によると警察は機動隊員2000人あまりを動員し、警戒にあたっている。

 またチャイ下院議長は、議会放送を通じて「今日は、一切の暴力行為も起こさせない。また、一滴の血も流させない。ただちに抗議活動を中止し、国王を敬い、自宅に戻るように」と述べ、双方に事態の沈静化を呼び掛けた。

 24日の国会包囲は、前週20日にPADが占拠する首相府に爆発物が投げ込まれ1人が死亡、29人が負傷した事件がきっかけ。PADを狙った暴力事件では、22日未明にもオートバイに乗った男が首相府に爆発物を投げ込み、7人が負傷、病院に搬送された1人が24日に死亡している。(c)AFP