【11月19日 AFP】資金繰りの悪化などで窮地に陥っている米自動車大手3社(ビッグスリー)が救済策を強く要請する中、ヘンリー・ポールソン(Henry Paulson)米財務長官は18日、公的資金7000億ドル(約68兆円)を盛り込んだ金融安定化法の適用について、疲弊した経済の立て直しのためには使用しないとの考えを示した。

 ポールソン財務長官は、下院金融委員会で発言し、議会が10月3日に可決した不良資産救済プログラム(Troubled Asset Relief ProgramTARP)は「あらゆる経済問題を解決する万能薬ではない」と述べた。

 ポールソン長官は「救済プログラムは、経済刺激策でもなければ、経済回復策でもない。金融システムを安定化することで、経済の基礎部分を補強することを意図したものだ。深刻な金融危機がもたらした痛手を回復するために(金融安定化法を)用いることを期待するのは、非現実的だ」と語った。

 財務長官の発言は、低燃費車の増産向けの250億ドル(約2兆4000億円)の融資を活用すべきだとのホワイトハウス(White House)の主張をくり返したものとなった。

 米議会での緊急融資法案成立への望みが消えつつあるなか、窮地に陥っている「ビッグスリー」の経営陣らは、救済策に懐疑的な議員らに対し、自社救済への最後の望みを賭けて支援を要請する。

 民主党が、自動車業界への250億ドルの追加緊急融資を盛り込んだ法案を提出するのを受け、米自動車大手ゼネラル・モーターズ(General MotorsGM)や同フォード・モーター(Ford Motor)、同クライスラー(Chrysler)のトップらが18日、上院銀行住宅都市委員会に出席し、証言を行う。この法案については、成立は非常に困難とみられている。(c)AFP