【11月1日 AFP】浜田靖一(Yasukazu Hamada)防衛相は31日夜、民間企業が主催した懸賞論文に第二次世界大戦で日本は侵略国ではなかったという趣旨の論文を応募していた航空自衛隊トップ、田母神俊雄(Toshio Tamogami)航空幕僚長(60)を更迭する方針を明らかにした。

 浜田防衛相は記者団に対し、航空幕僚長として不適切な発言で、田母神氏は職にとどまるべきではないと述べた。

 田母神氏の論文は、1995年に当時の村山富市(Tomiichi Murayama)首相が出し、それ以降の政権も引き継いでいる政府見解を真っ向から否定する内容。日本の侵略と植民地支配のつらい記憶が残っている中国、韓国、北朝鮮、そのほかのアジア各国の反発を呼ぶ恐れがあると懸念する見方も出ている。

 いわゆる団塊の世代に属する田母神氏は4月、航空自衛隊のイラク派遣を違憲とする高裁判決が出た際、この判決で心が傷つく自衛隊員もいるかもしれないが、大多数の自衛隊員は「そんなの関係ねえ」という心境だと、当時流行していたコメディアンの言葉をまねてイラクでの空輸活動を擁護し、批判されたことがある。(c)AFP/Shigemi Sato