【10月24日 AFP】中国政府から北京五輪中の活動を一切中止するよう命じられていた著名なエイズ活動家、万延海(Wan Yanhai)氏(44)が14日、AFPとのインタビューで「慎重にだが、活動を再開した」と語った。

 中国でエイズは政府が敏感に反応する問題だ。万氏は最近も警察に尾行されているほか、9月には同氏が運営するエイズ患者のための支援機関、愛知行健康教育研究所(Aizhixing Institute of Health Education)が、不当な税務調査を受けたという。万氏はこうした取り締まりについて「五輪が終わって、われわれに『問題』をもたらす時間が以前よりもできたようだ」と語った。

 北京五輪が人権状況を改善するのではないかとの期待とは裏腹に、五輪前および期間中に反政府活動家に対する厳しい弾圧があったことから、政府に批判的な人々の間では、五輪により以前より厳しい取り締まりが続く下地を作られたかのようだという非難が強い。

 また、今年度のノーベル賞受賞を中国人候補が逃したことで、人権向上と中国の開放をもたらすもう一つの機会が失われたと、嘆く声も上がっている。

 政府当局は五輪前の取り締まり強化段階で反政府活動をより深く把握したことから、弾圧を緩めることなどないだろうと、万氏はみており、「その点を理解するのが重要だ」と警戒している。

 五輪が近づくにつれ、反政府活動家らに対する中国政府の嫌がらせや拘束、投獄が増え、チベット(Tibet)自治区や新彊ウイグル(Xinjiang Uighur)自治区など反政府活動の盛んな地域でも治安態勢が増強されていた点は、これまでにも指摘されている。(c)AFP