【9月29日 AFP】南米エクアドルで28日、憲法改正案の是非を問う国民投票が実施され、出口調査によると有権者の66-70%の賛成で改憲承認が確実となった。「21世紀型社会主義」と呼ぶ改革を推進するラファエル・コレア(Rafael Correa)大統領(45)は「圧勝だ」と勝利宣言した。

 コレア大統領は投票に先立ち、国民の賛成は確実だと期待を示していた。同大統領は、左派政権のベネズエラやボリビアとの同盟強化をめざしており、新憲法案は両国の左派政権および90年代の新自由主義に対する対抗姿勢に影響を受けている。ただし、両国のようにエネルギー企業の国営化には至っていない。

 新憲法案には、大統領の2期連続再選(1期4年)、議会解散権、選挙の前倒しなども盛り込まれている。コレア大統領はすでに、連続再選が認められれば来年2月の大統領選挙に出馬する意向で、その場合、早期に制憲議会選挙が実施される見通しだ。

 また新憲法はエクアドル国内の外国軍の基地の閉鎖も求めており、米軍が港町マンタ(Manta)の空軍基地を拠点に約10年間実施している麻薬撲滅作戦も、中止に追い込まれる。

 憲法改正案に反対する野党党首のハイメ・ネボット(Jaime Nebot)グアヤキル(Guayaquil)市長は、新憲法案は政府の集権化を招き、私有財産が危機にさらされると指摘。また、そうした形態の政府は機能しないことは、すでに証明されているとして、激しく非難している。

 カトリック教徒が大半を占める同国で強い影響力を持つローマ・カトリック教会も、妊娠中絶と同性婚を合法化につながる内容を盛り込んだ新憲法案を批判している。

 国民投票をめぐる混乱を防ぐため、警官約6万人が全国に配置され、アルコール飲料の販売も26日から29日の間は禁止された。欧州連合(EU)と米州機構(Organization of American StatesOAS)から派遣された選挙監視団も配置されているが、これまでのところ不正は報告されていない。(c)AFP/Hector Velasco