【9月24日 AFP】グルジア紛争、イランの核開発、セルビアからのコソボ(Kosovo)独立、スーダン西部ダルフール(Darfur)地域の紛争、あるいは中東和平などをめぐり世界の多極化が進む中、国連(UN)改革を求める声が再び高まっている。特に安全保障理事会(UN Security Council)は、今日の世界をほとんど代表していないとの批判もある。

 安保理の常任理事国5か国は、かねてから国際的な諸問題について足並みをそろえようと努力しており、16日の国連総会(UN General Assembly)開幕前には、南オセチア自治州(South Ossetia)とアブハジア共和国(Abkhazia)の独立をめぐるロシアとグルジアの対立で、多国間の協議が停滞するのではとの懸念は収まりつつあるようにも思えた。

 しかり、グルジア紛争は、安保理内部の亀裂を浮き彫りにしてしまった。

 ザルメイ・ハリルザド(Zalmay Khalilzad)米国連大使は18日、グルジア紛争では基本的にロシアの行動には反対しているという事実については包み隠しようがないものの、そのほかの米露共通の利害がある問題では協力していくべきだと認識していると述べた。

 このような問題の1つがイランの核開発をめぐる問題で、解決に向けて常任理事国とドイツの6か国が外交努力を続けている。

 6か国の外相は25日、国連総会に合わせて会合を開く予定で、イランの核兵器開発につながりかねないウラン濃縮活動の拒否に対し、国連による4度目の制裁の可能性を検討する見通しだ。

 安全保障理事会内でも、スーダン西部ダルフール地域の平和活動、ミャンマーやジンバブエの民主化に対する取り組みは、ロシアと中国の反対で阻止され、南アフリカやリビアなどの非同盟諸国もこれに同調することが多い。

 ハリルザド米国連大使は「国連は多くの地政学的・人道的問題の解決に向けて重要な役割を果たしてきた。しかし、国連自体に改革すべき点は多く、特に国連の透明性、説明責任、効率性における改革は依然として最優先課題だ」との見解を述べた。

■途上国の主張

 一方、ほかの国々、特に開発途上国は、国連の役割や有効性について大きく異なる見方をしている。

 ニカラグアのミゲル・デスコト(Miguel d'Escoto)国連総会議長は国連総会の開幕に際し、「国連が早急に必要としている分権は、ごく少数の国家グループに集積した権力の分化も伴うということを強調したい」と述べた。

 デスコト議長は米政府に対する皮肉を込め、「民主化を支援するという名目で多数の人を殺す侵略戦争を起こす一方で、同時に、想像できうる限りのあらゆる手段と口実を使って、国連自体の民主化プロセスを阻止しているというのはまったく理解できない」と述べた。

■常任理事国入り目指す日本

 先進国と途上国の両者を結び、国連と密接に協調できると期待されているのが、常任理事国入りを目指している日本だ。

 高須幸雄(Yukio Takasu)国連大使はAFPに対し、日本は常任理事国として非常に建設的な役割を果たせるとの意気込みを示し、15日に総会で、09年2月28日までに安保理拡大に関する政府間交渉の開始が決められたことを歓迎した。

 安保理は現在、非常任理事国10か国と常任理事国5か国(米、英、仏、露、中)で構成され、常任理事国には拒否権が与えられている。この構成は、国連が1945年に設立されて以来ほとんど変化しておらず、今日の世界情勢をよりよく反映するよう安保理拡大を求める声もあるが、加盟国間でも長年にわたって意見が別れている。

 2005年、常任理事国入りを目指す日本、インド、ドイツ、ブラジルの4か国グループ(G4)はアフリカの2か国とともに、拒否権を持たない常任理事国となることを強く求めたが、この案は主要理事国の支持を得られず、またイタリア、パキスタン、アルゼンチンといったG4それぞれの地域のライバルが強く反対した。

 高須大使は、3年前にG4が理事国入り出来なかった主な理由は、米国と中国の意向に十分に注意を払わなかったことだと分析する。安保理拡大には、国連憲章の修正、すなわち拒否権を持つ常任理事国5か国の同意が必要だ。高須大使は「だからこそ日本はこの3年間、中国との関係改善に努め、米国と緊密に相談してきたのです」と語った。(c)AFP/Gerard Aziakou