【9月17日 AFP】イスラエルの与党第1党カディマ(Kadima)は17日、汚職疑惑で辞意を表明したエフド・オルメルト(Ehud Olmert)首相の後継を選ぶ党首選を行う。

 ツィピ・リブニ(Tzipi Livni)外相(50)と元軍参謀総長でタカ派のシャウル・モファズ(Shaul Mofaz)運輸相の事実上の一騎打ちだが、世論調査の支持率ではリブニ外相が終始リードしている。ただし、最新の世論調査ではその差がわずか5ポイントにまで縮まってきている。

 いずれが党首に選ばれても、首相に就任して組閣を行うことができるかは、依然として不透明な状況となっている。

 イスラエルの政界にキラ星のごとく登場してカディマ、そして政界のナンバー2にまで登りつめたリブニ外相は、故ゴルダ・メイア(Golda Meir)元首相(在任:1969-1974)以来の影響力を持つ女性だと称されている。

 これについてリブニ氏は前週、地元紙に対し、「わたしはゴルダ・メイア2世なのではなくて、ツィピ・リブニ1世なんです。この次はわたしがイスラエルを率いるわ」とメイア元首相と比較するメディアをかわした。

 リブニ氏は、外相として、前年11月の米国主催の中東和平国際会議で復活したパレスチナとの和平交渉を主導する。コンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)米国務長官やパレスチナ自治政府のアハメド・ クレイ(Ahmed Qorei)前首相と頻繁に会い、2008年中の交渉妥結に向けた協議を精力的に行っている。ただし最近では、会談の内容について固く口を閉ざすようになっている。

 リブニ氏は、皮肉にも、右派の野党リクード(Likud)に縁のある家庭に生まれた。ポーランド生まれの父親は、イスラエルの建国前、英国の委任統治に反対する過激派武装組織イルグン(Irgun)の幹部だった。母親もイルグンの戦闘員だった。イルグンは、のちにリクードを結成することになる。

 両親の影響で「大イスラエル主義(ヨルダン川西岸とガザ地区を含めた土地にユダヤ国家建設を図ろうとする考え方)」に染まっていたリブニ氏だが、アリエル・シャロン(Ariel Sharon)前首相の影響で、イスラエルを維持するには1967年の第3次中東戦争で獲得した領土の一部を放棄せざるをえないと考えるようになった。

 リブニ氏は1958年7月8日生まれ。イスラエルのバーイラン大学(Bar-Ilan University)法学部を卒業後、民間企業で10年間、商法、憲法、固定資産法を専門とする弁護士として働いた。今年7月には対外特務機関モサド(Mossad)のエージェントだったことを認め話題になった。

1999年にクネセト(国会)に初当選、2001年に初入閣。既婚で2人の子どもがいる。(c)AFP