【9月17日 AFP】イスラエルのエフド・オルメルト(Ehud Olmert)首相の後継者選びが、米国が仲介するパレスチナとの和平交渉における年内妥結の見通しに影を投げかけている。

 パレスチナ自治政府はオルメルト氏の後継者いずれとも交渉を継続する意向を示しているが、交渉がさらに難航する可能性も予想している。

 17日に実施される中道右派与党カディマ(Kadima)の党首選では、パレスチナとの交渉を主導していた現実派のツィピ・リブニ(Tzipi Livni)外相とタカ派のシャウル・モファズ(Shaul Mofaz)運輸相の事実上の一騎打ちとなるとみられる。

 党首選が終わっても政治の先行きの不透明感が晴れない可能性もある。カディマが組閣に十分な支持を集められず総選挙が前倒しで実施された場合、ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)元首相が率いる右派リクード(Likud)が過半数を占めるとみられる。

 5月にオルメルト首相が収賄容疑で改めて取り調べを受けたことに端を発した政治的混乱は、前年11月に米国が支援して行われた会談で再開したイスラエルとパレスチナの交渉にもかげを投げかけている。

 パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長の政治顧問Nimr Hammad氏は「今年中に合意に到達するのがさらに困難になったのは明らかだ」と話す。

 前年11月に米メリーランド(Maryland)州アナポリス(Annapolis)で行われた会談で、アッバス議長とオルメルト首相、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は2008年末までに包括的中東和平合意を妥結することで合意していたが、実質的な進展はほとんどない。

 パレスチナの政治アナリストHanna Siniora氏はイスラエルの政治混乱が和平交渉を損なうのではないかと懸念している。モファズ氏の見解がネタニヤフ氏に近いことを指摘しつつ、「両氏のいずれかが選出されたら、(交渉は)後退するだろう」と述べた。さらにリブニ氏についても「リクード出身であることを忘れてはならない」と指摘した。

 リブニ氏とオルメルト氏、モファズ氏らは2005年、リクードから分離し中道右派のカディマを結成した。

 Siniora氏はイスラエルとパレスチナ間の交渉に進展がない状態が長引けば「双方に過激な指導者が誕生して混乱が激しくなり、戦争にも発展しかねない」と述べた。(c)AFP