【9月10日 AFP】発生からまもなく7年が経過する2001年9月11日の米同時多発テロは、今年の大統領選の成否を分けかねない争点の1つとなっている。

 民主党のバラク・オバマ(Barack Obama)、共和党のジョン・マケイン(John McCain)両候補は、11日には選挙戦を「一時停戦」し、記念式典にそろって出席する予定だ。

 有権者の最大の関心事が「景気後退」であるとしても、イラクやアフガニスタンでの戦争が終結しない中、「9.11後」は今なお、大統領の資質を問う重大な試金石となっている。

 米シンクタンク・ブルッキングス研究所(Brookings Institution)の安全保障専門家、マイケル・オハンロン(Michael O'Hanlon)氏は、「今後の選挙戦でも外交政策は最大の争点になるだろう。国家安全保障が大統領の中心的な仕事だからというだけでなく、両候補の違いが最も鮮明な分野だからだ」と指摘する。

 同氏は、9.11はいまだに国家安全保障の最大のキーポイントの1つであり、その他の重要な争点も大半がなんらかの形で9.11に関連したものになるだろうとも付け加えた。

 事件発生当時はほとんど無名のイリノイ(Illinois)州議会議員だったオバマ候補は、事件の1週間後、シカゴの新聞に「国内の安全保障を強化し、情報収集能力を高め、過激派の組織を解体することが最優先されるべきだ。さらに、そうした狂気の原因を探るという難しい仕事にも取り組まなければないだろう」と寄稿した。選挙戦では、「イラク戦争は、アフガニスタンでの真のテロの脅威から国民の注意を逸らす『愚かな戦争』だった」と演説し、「イラク駐留米軍をパキスタン国境付近に再配備する」ことを公約に掲げている。

 一方のマケイン候補は、「国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)に勝利の機会を与えるようなもの」だとして、イラク駐留米軍の早期撤退には反対している。同候補は当初から、イラクを含めてイスラム過激派が脅威を突きつける場所であればどこででも、その「壮絶な悪」と戦うべきだと主張している。

 そんなマケイン候補だが、「パキスタン政府が動かない場合には米軍が同国のアルカイダ分子を掃討すべき」というオバマ氏の姿勢は批判している。(c)AFP