【8月31日 AFP】メキシコで30日、治安の悪化に抗議するデモが全国各地で開催され、メキシコ市(Mexico City)では独立記念塔の広場などに約20万人が集まり、市内を行進した。

 娘を誘拐された医師のマヌエル・ラミレス・フアレス(Manuel Ramires Juarez)さんは、メキシコ市でデモに参加し、娘の写真をデモ参加者らに手渡した。フアレスさんは、「娘のモニカを取り戻すためにデモに参加した。2004年12月に誘拐されたが、誘拐犯からは未だに何の連絡もない」と話した。

 フアレスさんによると、娘の学友が誘拐事件に関与したとして逮捕され、禁固21年を言い渡された。「しかし、(誘拐犯らには)沈黙の掟があり、共犯者からの報復を恐れて、少年は何も話さなかった。娘が生きているかどうかさえ、話さなかった」という。

 モニカさんは21歳の誕生日の前に誘拐された。メキシコではこのような誘拐事件が数百件も未解決のままになっている。

 フアレスさんによると、モニカさんの事件を含め多くの誘拐事件で警察が事件に関与しているという。また、「聞く耳を持たないし、やる気がない」と警察当局を非難した。

 警察の汚職や、誘拐、麻薬に関連した死傷事件は、メキシコにおいてはかなり以前から日常的に発生している。

 2006年12月に就任したフェリペ・ カルデロン(Felipe Calderon)大統領は、兵士3万6000人を動員するなど麻薬に関連した暴力事件や麻薬密売の取り締まりを強化したが、その後暴力事件は増加している。(c)AFP