【7月1日 AFP】フランスは1日、スロベニアを引き継いで欧州連合(EU)の議長国に就任した。任期は半年。

 30日には正式な議長国交代の式典が開催され、同日夜にはエッフェル塔(Eiffel Tower )が青色の背景に金色の星をあしらった「ユーロカラー」にライトアップされた。1日にはパリ(Paris)の凱旋門で式典が行われることになっている。

 ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領は30日、フランステレビのインタビューに答え、欧州統合プロセスにおけるリスボン条約(Lisbon Treaty)批准の重要性を強調した。

 サルコジ大統領は「これまでの欧州統合プロセスに向けた手段には誤ったものもあった」と認め、「これにより、加盟国の市民は、EUがグローバル化から彼らを十分に保護してくれるものなのか疑念を持ち始めてしまった」と語った。しかしこうした考えは「後ろ向きだ」として、「欧州統合への道のりを大幅に変える必要がある」との認識を示した。

 サルコジ大統領はEUをより強力な統一に導く熱意を示しているが、6月にアイルランドが国民投票でリスボン条約の批准を否決したことでEU改革に向けた動きは行き詰まりをみせている。この事態についてサルコジ大統領は、議長国としての最優先課題はリスボン条約を批准しない動きをアイルランドに封じ込めることだと語り、EU加盟国全てがリスボン条約の批准する必要があると力説、全加盟国がリスボン条約を批准するよう積極的に働きかける姿勢を示した。

 サルコジ大統領は「我々は急いではいけないが、同時にあまり時間もない」と述べ、EU加盟各国に2009年6月の欧州議会議員選挙までにリスボン条約を承認するよう求めていく考えを示した。

 サルコジ大統領は、EUは日常の政策課題に取り組むべきだと強調しており、原材料価格の高騰に対応するため欧州全域でのレストラン料金や石油製品にかかる付加価値税減税提案している。これに対しEU各国首脳は冷淡な反応を示しているが、欧州委員会(European Commission)は提案を検討することで合意し、サルコジ大統領は10月に報告書を提出することになっている。

 フランスはEU議長国として移民、防衛、エネルギーと環境、農業の4つをEUの優先課題に掲げている。サルコジ大統領は10日に、仏東部ストラスブール(Strasbourg)の欧州議会で演説し、優先課題を示すことにしている。

 翌11日にはアイルランドを訪問し、アイルランド国民の意見を直接聞く意向だ。EU首脳は、10月の欧州理事会でアイルランドのブライアン・カウエン(Brian Cowen)首相から状況説明を受けたうえで、リスボン条約について再度、協議することにしている。

 また13日にはイスラエルやアラブ諸国を含む地中海沿岸諸国と欧州各国の協力関係の強化を目的としてサルコジ大統領が提唱した地中海連合(Mediterranean Union)も発足する。(c)AFP/Carole Landry