【6月19日 AFP】民主党の大統領候補指名を確実にしたバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員は17日、本選で対決する共和党のジョン・マケイン(John McCain)上院議員が主張するテロとの戦いはどれも説得力がないと切り返した。

 オバマ氏は移動中の飛行機の中で記者団の取材に答え、「私を批判しているのは、同時多発テロの実行犯を突き止めることができたかもしれない時期に、国民の注意をイラク戦争に巧妙にそらした当の本人たちであることを考えて欲しい。(国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の指導者)ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)がいまだにビデオメッセージを送りつけることができるのは、その失策のためとも言える。だからこそ、同時多発テロから多くを学んだという彼らの言葉には説得力がない」と話した。

 オバマ氏は、米連邦最高裁判所が12日、キューバのグアンタナモ(Guantanamo)米軍基地内の収容施設の拘束者に対し、民間法廷に人身保護請求を求める権利を認める判決を下したことを受け、拘束者は法廷で裁かれるべきだと発言し、マケイン氏支持者から厳しい批判を受けている。

 マケイン陣営の外交専門家ランディー・シューネマン(Randy Scheunemann)氏は武装勢力と戦うのは法廷ではなく戦場だと話し、オバマ氏の発言について、オバマ氏がいまだに「(同時多発テロ発生前日の)2001年9月10日までの思考法」で考えている証拠だと批判した。

 16日夜に米ABCニュース(ABC News)に出演したオバマ氏は、1993年にニューヨーク(New York)の世界貿易センタービル(World Trade Center)へ初めて攻撃を画策したイスラム過激派は、民間法廷で裁かれた結果、現在も服役中であると話した。

 その上でオバマ氏は、9.11同時多発テロ以後のブッシュ政権の政策は、「テロリストたちを法廷で裁くことができなかっただけでなく、法の支配という観点で米国の信頼性を世界中で失墜させた。(ブッシュ政権の政策は)『見ろ。米国はイスラム教徒にこんな仕打ちをする国だ』と考える国々で、テロリストのリクルートを大幅に増加させてしまった」と述べた。

 オバマ氏支持者らは、米国の同盟諸国をイラク戦争やアフガニスタンでの新たな脅威に巻き込み、同盟諸国の離反を招いたジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領の「テロとの戦い」というレトリックをマケイン氏が再び利用しようとしているとして批判している。(c)AFP/Charlotte Raab