【6月16日 AFP】帰国すれば迫害されると訴えながらオーストラリアから中国に強制送還された反体制派の中国人民主化運動家が、自殺していたことが16日、支援者の1人の証言で明らかになった。

 強制送還後も連絡を取っていた支援者のFrances Milne氏によると、この活動家は2007年に強制送還され、その後当局による暴力や拷問などを受けていると主張していたという。活動家の名前はZhang氏としか明かされていない。

 豪ニューサウスウェールズ(New South Wales)州の人権保護当局者は、Zhang氏の強制送還は拷問等を禁止した国際条約に違反していると指摘。オーストラリア公共放送(Australian Broadcasting CorporationABC)に対し、Zhang氏が強制送還直後に中国国内で拷問を受けた証拠が豪政府に提出されていること、人権保護当局は政府にZhang氏を再びオーストラリアに連れ戻すよう求めたが、実行されなかったと述べた。

 これに対しクリス・エバンス(Chris Evans)移民・市民権相は、この件についてはまったく知らなかったとして、今後情報を収集すると述べた。

 Zhang氏は中国の民主化運動組織に関与しており、中国国内で危険にさらされているとして、約10年にわたって亡命を求めていた。(c)AFP