【6月3日 AFP】オーストラリア軍部隊の兵士約550人がイラク撤退を開始する中、公約として撤兵を掲げていたケビン・ラッド(Kevin Rudd)首相は2日、議会で演説し、イラクへの軍派遣を正当化するために用いられた主張はすべて誤りであったと述べた。

 前年11月に行われた総選挙で、ラッド首相はイラク戦争を激しく批判し、保守派の長期政権を率いたジョン・ハワード(John Howard)前首相を破り政権の座についていた。

 ラッド首相は議会で、ハワード前首相がオーストラリア軍部隊をイラクに派遣するために提示した4つの根拠について触れ、すべてを誤りであったとして退けた。

「テロ攻撃の防止はできたか?ノーだ。マドリード(Madrid)列車爆破事件の犠牲者らがそう証言するだろう」

「大量破壊兵器と旧イラク政権とテロリストとの間の関連性は示されたか?ノーだ」

「イランのようなならず者国家の活動は抑えられたか?ノーだ。イランの核保有への野心は、いまだに根本的な課題だ」

「5年が経過し、イラクの人道危機は除去されたか?ノーだ」(ラッド首相)

 さらにラッド首相は、「情報機関の提供する情報の悪用」があったとして、イラク派兵の決断に至る過程について、特に懸念を表明した。

 一方、オーストラリアの弁護士、学者、政治家らのグループが、イラク侵攻に関してハワード前首相を戦争犯罪で訴追する構えを見せている。

 オーストラリア放送協会(ABC)によると、2003年の米軍主導によるイラク侵攻へのオーストラリア軍部隊の派遣について、ハワード前首相の戦争犯罪を問う訴訟準備書類が国際刑事裁判所(International Criminal CourtICC)に送付された。(c)AFP