【5月27日 AFP】米大統領選の共和党候補に確定しているジョン・マケイン(John McCain)上院議員はここへ来て、より厳格な倫理規範を掲げて側近を一掃し、民主党が着せようとする「ワシントンのビッグビジネスに捕らわれたインサイダー」の汚名をかわそうと躍起になっている。

 マケイン氏が最近、大統領選における利害と衝突しそうなロビー活動を締めつけてから、少なくとも5人の選挙陣営幹部がたもとを分かった。うち2人は国際的非難を浴びるミャンマー軍事政権の広報活動を行った経歴があり、1人はサウジアラビアの石油王の代理としてロビー活動をしていた。

 大統領選本選で民主党バラク・オバマ(Barack Obama)上院議員と対決することを見越し、マケイン氏はオバマ議員の「変革」を訴えるメッセージに対抗しようと、無党派層の有権者に向け、自らの属する共和党に原則的な課題で挑戦することも恐れない「一匹狼」のイメージをアピールしている。こぎれいなロビー企業が立ち並ぶワシントン官公庁街の内部関係者たちに束縛されることは、マケイン氏が有権者に投影したいと願う姿勢ではない。

 前週マケイン氏は、自らの選挙陣営に極めて厳格な規則を課した。その中で登録ロビイストと「外国の代理人」のスタッフ入りを禁じ、パートタイムのボランティアには選挙支援以外の活動の全面開示を求めた。

 しかし、選挙戦の当初から登録ロビイストの陣営参加を禁じているオバマ氏は、マケイン氏の資金統括のトム・ロフラー(Tom Loeffler)元下院議員が陣営を去った際、マケイン氏について「ワシントンそのもののような存在」と批判した。

■「クリーンさ追及で首絞めている」との悪評も

 マケイン氏には上院で既得利益を追及した実績がある。同氏の調査により、最も強力な共和党ロビイストだったジャック・アブラモフ(Jack Abramoff)受刑者は、収賄や利得行為の罪などで有罪となった。

 また、政界におけるロビイスト絡みの資金に対抗する救世主として、2002年には選挙資金法改革を主導したほか、悪名高いアラスカ(Alaska)の「行き先のない橋」の建設といったばらまき予算を非難している。

 しかし、マケイン氏の資金調達の源泉となりうるロビイスト業界周辺からは、反発も起こっている。
 
 米政治専門紙「ポリティコ(Politico)」は前週、マケイン陣営が財政難に陥った2006年半ばにも見捨てず、踏みとどまった共和党ロビイスト数人の嘆きの声を列挙した。

 その中の1人は、「マケイン氏は自らの『独善』で動けなくなっている。自分で自分を窮地に追いやってしまった状態だ」と言い、またほかのロビイストは「われわれが気に入らないのならば、小切手を返してほしい。たいへん頭にきている」と語った。(c)AFP/Jitendra Joshi