【4月24日 AFP】スーダンで22日、15年ぶりの国勢調査が始まった。ダルフール(Darfur)和平交渉が暗礁に乗り上げるなかで、実施が危ぶまれていた。

 国勢調査は、アフリカ最長の紛争の1つであるスーダン内戦を終結させる2005年の包括的和平協定に、その実施が盛り込まれた。目的は、2009年の総選挙を前にした選挙民の登録で、中央政府の(アラブ系が多い)北部および(黒人系が多い)南部出身者の登用比率を決定する意味合いもある。

 南部政府が、民族や宗教に関する項目が含まれていないことを不服としたこともあり、調査は4回延期されていた。

 なお、南部の武装勢力は、アラブ系の中央政府が「国勢調査を操作してアラブ系の影響力を強め、国民の大半を占めるアフリカ系を周縁に追いやろうとしている」として、ボイコットを表明している。ダルフール最大の反政府組織「正義と平等運動(Justice and Equality MovementJEM)」は、避難民の多くが難民キャンプや隣国チャドにいる現状での国勢調査の実効性に疑問を呈している。

 国勢調査初日、首都ハルツーム(Khartoum)では4月には珍しく雨が降った。この日は祝日となり、店も会社も閉められ、自宅待機が命じられているために道路に人影はなかった。

 国勢調査員を乗せた飛行機は南部にも向かったが、ここも豪雨に見舞われ、洪水のためルンベク(Rumbek)に着陸することはかなわなかった。

 調査員には6万人が動員され、200人の監視員のもとブルーの野球帽とジャケットというおそろいの格好で1戸ずつ巡り、2週間かけて人口を調査する。同国の人口は推定4000万人。国連(UN)の支援も受けた調査にかかる総費用は、1億300万ドル(約100億円)だ。

 北部の国勢調査本部は、「すべてがスムーズに行われている」とコメントしたが、AFPの取材では、首都ハルツームでも、南部でも、大半の人が「調査員は見かけなかった」と答えている。

 政府は、国勢調査の結果は早ければ9月にも判明するとしている。(c)AFP/Jennie Matthew