【4月11日 AFP】泉信也(Shinya Izumi)国家公安委員長は11日、閣議後の記者会見で、26日に長野市で行われる聖火リレーを中国の警備隊が警護することに否定的な考えを示した。

 ロンドン(London)やパリ(Paris)、サンフランシスコ(San Francisco)で行われた聖火リレーでは、中国政府が派遣した特殊な訓練を受けた警備隊員30人が、青と白のトラックスーツを着て聖火リレーランナーと並走したが、中国政府の人権侵害やチベット(Tibet)統治への抗議デモ参加者らを乱暴に排除したとして非難されている。

 泉国家公安委員長は、日本では警備は警察がするのが原則だと述べた上で、中国の警備隊員の身元を確認する明確な手続きが必要だと述べた。

 オーストラリアのケビン・ラッド(Kevin Rudd)首相は、首都キャンベラ(Canberra)のリレー区間の警備に中国の警備隊は不要との考えをすでに明らかにしている。

 また、2012年に開催されるロンドン五輪の組織委員会のセバスチャン・コー(Sebastian Coe)委員長は、6日に行われたロンドンでの聖火リレーでの中国の警備隊員を「thugs(ごろつき、チンピラの意)」と非難したと報道された。

 時事通信によると、北京五輪組織委員会(Beijing Organizing Committee for the 2008 Olympic GamesBOCOG)は、1998年冬季五輪開催地の長野市で行われる聖火リレーの実行委員会に、警備担当者2人の派遣を伝えている。

 長野市では当初警備員1200人によるリレー警護を予定していたが、前月になって警備費用を3割以上増の600万円に引き上げた。

 長野市では18.5キロの聖火リレーが行われ、2004年アテネ五輪で2冠を達成した競泳の北島康介(Kosuke Kitajima)選手や、同レスリング金メダリストの吉田沙保里(Saori Yoshida)選手ら約80人が参加する予定。(c)AFP