【4月6日 AFP】過去8年間に1億900万ドル(約111億円)の収入があったことを4日公表した、民主党の大統領候補ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員と夫のビル・クリントン(Bill Clinton)前米大統領夫妻に5日、数々の疑問や疑惑が持ち上がり波紋が広がっている。

 クリントン陣営の広報は、クリントン夫妻は30年分の所得申告を公開していると指摘し、クリントン候補の透明性の高さを強調した。ライバルのバラク・オバマ(Barack Obama)候補は前月25日、ミシェル(Michelle Obama)夫人の所得と合わせた申告を公開し、クリントン氏にも所得を公開するよう求めていた。

 221ページにわたるクリントン夫妻の収入の詳細は4日、陣営のウェブサイトで公開された。翌5日の専門家やメディアは、ビル・クリントン氏が講演で5200万ドル(約53億円)を稼いだことに注目。講演の依頼主とヒラリー・クリントン候補への献金の関連を指摘した。

 ワシントン・ポスト(Washington Post)は、金融大手シティーグループ(Citigroup)とその従業員による個人献金がヒラリー・クリントン氏への献金のなかで最大の割合を占めていると伝えた。同グループは2004年にクリントン氏がフランスで行った講演に25万ドル(約2500万円)を支払ったという。

 ビル・クリントン氏が、ヒラリー氏の重要な支持者である富豪ロン・バークル(Ron Burkl)氏と投資会社ユーカイパ(Yucaipa)を共同経営して得たおよそ1500万ドル(約15億円)にも注目が集まっている。

 米国メディアはビル・クリントン氏がマーケティング大手InfoUSAからのコンサルティング料として40万ドル(約4000万円)の報酬を得たことも報じている。InfoUSの最高経営責任者ヴィノッド・グプタ(Vinod Gupta)氏は、経営資源の一部についてヒラリー・クリントン氏が利用できるよう不適切な便宜を図ったとして、2007年に株主から訴訟を起こされている。

 2006年の平均的米国家庭の収入4万8200ドル(約490万円)は同年のクリントン夫妻の収入のわずか0.3%に過ぎない。ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)は、クリントン夫妻が自宅の維持費として申告した金額が次の重要な民主党予備選が行われるペンシルベニア(Pennsylvania)州の平均的な家庭の収入より多いと報じた。

 年収公開が、平均的有権者の取り込みを狙うクリントン氏にとって思わぬ落とし穴になる可能性もある。(c)AFP/Paul Handley