【4月5日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は4日、ルーマニアの首都ブカレスト(Bucharest)で開かれている北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席し、冷戦への逆行は否定したものの、NATOの旧ソ連圏への拡大には強い警戒感を示した。

 現在の東西問題が冷戦に発展する可能性があるかを記者団に問われたプーチン大統領は「可能性があるとは考えられない。誰の利益にもならない」と否定。

 来月大統領の座を退くプーチン大統領にとって最後の国際舞台となった「NATO・ロシア首脳会議」では、アフガニスタンへの物資輸送でロシア領内を通過することが許可された。

 大統領ら出席者は今回の会議を「前向き」と評価したものの、関係悪化の背景となった問題は解決をみていない。

■東欧2国の加盟問題に反発

 大統領が特に反発を募らせているのは、NATOが旧ソ連圏でロシアと国境を接するグルジアとウクライナに対し、将来的に加盟を認めたことだ。

 会議後緊急記者会見を開いたプーチン大統領は「強力な国際機構が国境を接するということはわが国の安全保障への直接的な脅威とみなされる」と語った。

■イランが米攻撃するとは「考えられない」

 米国が中欧に計画しているミサイル防衛(MD)システムについて、米国はロシアではなくイランを標的にしたものと説明しているが、NATO加盟国首脳に対する非公開の演説でプーチン大統領は、「イランがわざわざ米国を攻撃するなどとは本気で考えられない」と述べ、「イランを追い詰めるのではなく、予測可能で透明性のある国家になる手助けをする方が遙かに賢明だ」とけん制した。

■ロシアを「悪者にした」

 NATO加盟が旧ソ連圏の国々の民主化を促進するとのNATOの見解を「意味がない」とはねつけた。

 1991年のソ連崩壊後、東欧から滞りなく撤退したが「もちろんその見返りを期待していた。しかしいまだにない」と指摘した。むしろ一部のNATO加盟国は「ロシアを悪者に仕立て上げ、そのイメージを今も払いのけられないでいる。帝国主義を持ち出すものまでいる始末だ」と不満を述べた。

 主要な対立点での成果こそなかったものの、会議は予測された激しい対立にはほど遠いものだった。

■CFE再開の可能性を示唆

 プーチン大統領は、前年履行を停止した欧州通常戦力(Conventional Forces in EuropeCFE)条約についても、欧米諸国が妥協すれば再開の準備があると述べた。

 米国の強い支援にもかかわらず、グルジアとウクライナの加盟行動計画(MAP)承認は得られなかった。両国の将来的な加盟については12月のNATO外相会合で検討される。(c)AFP/Sebastian Smith