【4月1日 AFP】(4月2日 写真追加)米大統領選で民主党候補指名争いを繰り広げるバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員は、22日に予備選が行われるペンシルベニア州(Pennsylvania)で、「普通っぽさ」をアピールする変則的な戦術により打倒ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員を狙っている。

 巧みな演説とロックコンサートをほうふつとさせる集会で指名争いをリードするオバマ氏は現在、市民ひとりひとりと密接に触れあう機会を設けるべく、ペンシルベニア州で6日間にわたるバスツアーを展開中だ。

 礼儀正しく大学教授的な物腰で人気を博しているオバマ氏だが、今回の予備選に限っては、より人間味あふれる一面を見せる戦術をとっている。これまで十分な支持を得ることができずにいた労働者層と白人層に強くアピールするためだ。

 前週末には、大勢の市民を前に満面の笑みでボウリングを楽しみガーターを連発。ボウリング場のオーナーの1人であるジーン・モンゴメリー(Jean Montgomery)さんは「オバマ候補が来てくれてうれしい。とても気さくな人だった。政治にはそれほど興味はないけど、せっかく来てくれたんだから、これからはオバマ候補を応援するわ」と語った。

 そのほかにも、大学の農業科視察で子牛にミルクをやったり、スポーツバーに立ち寄ってビールを飲んだりと、実に楽しげなバスツアーとなっている。

 もちろん、これらすべてが次の予備選で勝利を収めるための戦術だ。「オバマ候補は大票田で勝てない」というクリントン氏の主張を覆すためにも、ペンシルベニアでの勝利は不可欠である。
 
 米国初の黒人大統領を目指すオバマ氏だが、これまでは民主党有権者の多数を占める労働者階級の白人層から十分な支持が得られないこともあり、結果的にクリントン候補の巻き返しを許してきた。

 オバマ氏の主要支持層は若者、黒人、比較的裕福な中上流階級の白人だ。しかし指名獲得のためには、あらゆる層からの支持を得なければならない。

 また、師と仰ぐジェレミア・ライト(Jeremiah Wright)牧師の問題発言についても、労働者階級の白人層に及ぼした影響を今後、払拭していくことになる。(c)AFP/Alain Jean-Robert