【3月29日 AFP】ネパールの首都カトマンズ(Kathmandu)で28日、チベット人高校生ら60人あまりが国連(UN)事務所の敷地内に立ち入るなどして中国のチベット統治に対する抗議デモを行い、現地警察に身柄を拘束された。

 中国チベット(Tibet)自治区のラサ(Lhasa)で発生した暴動が中国当局により制圧されて以来、カトマンズでは連日のように、国連事務所や中国大使館付近で亡命チベット人らによる抗議活動が行われていたことから、同地域では厳重な警備体制が敷かれていたが、こうした警備をかいくぐっての抗議活動は今回が初めてとなった。

 制服姿の高校生18人は、塀をよじ登り国連事務所の敷地内に飛び降りたという。国連の現地職員によると、敷地内に入った高校生らは、立ち入ったことを謝罪したうえで、チベットにおける中国の弾圧状況の調査を国連に要請した。生徒らの態度は終始、丁重だったという。

 高校生らの身柄の確保に現れたネパール治安警察に対し、国連職員らは高校生らの身の安全に懸念があるとして、国連のバスで生徒らを自宅に送り届けたという。

 一方、国連敷地内に入らなかった高校生5人やチベット人らは、警察に身柄を拘束されたが、数時間後に釈放された。

 中国とインドの中間に位置するネパールには多数の亡命チベット人が暮らしており、国連人権高等弁務官事務所(Office of the United Nations High Commissioner for Human RightsUNHCHR)などの人権監視団体はネパール政府に対し、亡命チベット人が抗議する権利を認めるよう求めている。(c)AFP/Deepesh Shrestha