【3月19日 AFP】治安状況が悪化し、強盗事件が多発することで知られるインド中部マディヤプラデシュ(Madhya Pradesh)州のShivpuri地区では前月、精管切除術を受ければ銃使用許可証の発行手続きを優先的に行う制度を導入した。当局が18日、明らかにした。

 人口11億を抱える同国は、貧困解消のため少子家族化を推奨している。これを背景に、Shivpuri地区では精管切除術の施行率を高める目的で今回の制度導入が決定されたという。同様の制度は近隣州ですでに実施されている。

 同地区当局者は「何か男性的なものと絡めて実施することが必要だと考え、銃使用許可証に決めた」と語る。

 制度が導入された前月から、精管切除施術率は急増している。銃の所有許可を得るには、手術を受けた上すべての銃規制法を満たさなければならない。にもかかわらず、すでに150人が手術を受け、月末までにはさらに100人が受けると見られている。1100ルピー(約2700円)の報奨金が支給されることになっているが、前年に手術を受けた人はわずか8人だった。

 140万人が住む同地区で使用許可が与えられている銃は、1万1000丁に過ぎない。だが強盗が大量の銃を不法所持しているため、住民たちは銃の所有を望んでいる。

 最近手術を受けた男性(55)は「銃の使用許可を得るのはそう簡単でないと知っていたため、これまで申請したことは1度もなかった。でもこの制度を聞いたとき、申請しようと思った」と語る。

 Shivpuri地区では毎年1万-1万5000人が銃使用許可証を申請するが、許可が与えられるのはわずか500人前後だという。

 一方、この制度を非難する声もある。ある警察当局者は「銃があると、ささいな争いでも命にかかわる事件に発展することもある。政府は別の政策を検討すべき。ばかげているし無責任だ」と語った。(c)AFP