【3月18日 AFP】中国政府15日、半世紀にわたるチベット(Tibet)自治区支配に対する抗議行動に端を発した騒乱を受け、同自治区への外国人受け入れを停止した。

 ツアー会社やホテル関係者によると、外国人観光客はすでに自治区から退去しており、「渡航許可が下りないため」新たな旅行者は認められていないという。

 ツアー会社関係者はAFPの電話取材に対し、「外には戦車や武装した兵士がおり、私たちは外出しないよう命じられている。街は封鎖された」と語った。複数の報道によると、騒乱によるこれまでの死者は10人とも100人とも伝えられている。

 チベットは、世界最高峰のエベレスト(Mount Everest)があることや、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世の故郷であることから、多くの外国人観光客を集めていた。

 政府観光局によると、チベット自治区には前年だけでも36万5000人の外国人観光客が訪れている。2006年と比較すると136%の増加で、約1億3500万ドル(約131億円)相当の利益をもたらしたことになる。

 チベットを訪れる観光客の中でもっとも多いのは、意外にも他省からの中国人だ。07年には約400万人の中国人が同自治区を訪れた。外国人では、日本人と米国人がもっとも多い。

 現在、米国および外国政府は、チベットへの渡航延期を勧告しており、北京(Beijing)の米大使館は、同地区での情勢が「不安定」であるためと説明した。

 また、スウェーデン、イタリア、フランスなどの欧州各国も、中国への渡航者に対し、状況が改善されるまでは危険な地域やデモを避けるよう呼びかけている。(c)AFP