【3月11日 AFP】ウイグル人の人権活動家、ラビア・カーディル(Rebiya Kadeer)氏(61)は10日、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で北京五輪などを狙った攻撃計画を阻止したとの中国当局発表について、「中国側のねつ造だ」と亡命先の米国で語った。

 中国政府は9日、同自治区の区都ウルムチ(Urumqi)で計画されていた北京五輪攻撃計画を阻止するための急襲作戦を1月に展開し、武装組織のメンバー2人を殺害、15人を逮捕したと発表。また同自治区当局も7日、中国南方航空(China Southern Airlines)のウルムチ発北京行き旅客機が7日、「テロリストによる攻撃」を受けたが、当局によって阻止され未遂に終わったと明らかにしている。

 これらの発表について、アメリカウイグル協会(Uyghur American AssociationUAA)を率いるカーディル氏は「全くのでっちあげで、テロ攻撃を偽装しウイグル人の抑圧を意図した中国当局の陰謀だ」と通訳を介してAFPに語った。同氏のコメントについて米国は公式な声明を出していない。

 カーディル氏は、中国で1999年から6年間、「国家安全危害罪」の罪で服役した後、2005年3月に釈放され、先に米国に亡命していた夫の後を追って米国に渡り亡命が認められた。以後、ウイグル独立を掲げる国際組織「世界ウイグル会議(World Uighur CongressWUC)」を設立し、中国当局のウイグル自治区における人権抑圧を訴える活動を続けているが、32歳と30歳の息子は中国で身柄を拘束されたままだ。同氏はノーベル平和賞の候補となったこともある。

 中国政府は新疆ウイグル自治区の独立を求める「東トルキスタン・イスラム運動(East Turkestan Islamic Movement)」を同自治区に対する最も深刻な脅威とみなしてきた。国連と米国も同団体をテロ組織に指定している。
 
 新疆ウイグル自治区の住民の多くはテュルク語を話し、イスラム教を信仰するウイグル人で、60年にわたり抑圧されてきたとして中国に反感を持つ住民が多い。

 中国はカーディル氏の活動に遺憾の意を示してきた。特に、前年6月に開催されたチェコ政治亡命家会合の一環でジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領が同氏と面会した際には激しく反発した。(c)AFP