【2月28日 AFP】(一部修正)米大統領選の民主党候補指名争いで、1960年代の公民権運動で活躍した同党の黒人有力下院議員ジョン・ルイス(John Lewis)氏(68)が、表明していたヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員支持から、ライバルのバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員支持へ「くら替え」を表明した。背水の陣のクリントン候補にとって新たな「ボディーブロー」となりそうだ。

 公民権運動の象徴的指導者で暗殺された故マーティン・ルーサー・キング(Martin Luther King jr.)牧師の後を引き継いで活動してきたルイス議員は、「アメリカで今何かが起こっている」と述べ、この国を劇的に変える公民権運動に匹敵する歴史のうねりを感じていると語った。

 数日後の3月4日に控えるテキサス(Texas)州、オハイオ(Ohio)州の予備選では、大統領選からの撤退を避けるために勝利が必須とされるクリントン候補にとって、ルイス議員が支持候補を乗り変えたタイミングは、特に神経のいら立つ材料となった。

■ブルームバーグNY市長は不出馬を表明

 混戦続きの今回の大統領選だが、無所属候補として出馬が期待されていた資産家でニューヨーク(New York)市長のマイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)氏(65)が不出馬を表明し、見通しは少し落ち着いた感が出た。同氏が立候補した場合には、無党派層の票が大量に同氏に流れ、民主党の支持層が割れるなど、本選への影響が予測されていた。

 ルイス下院議員は60年代、命を危険にさらしながら公民権運動を率いたが、今回の大統領選ではアメリカ人の心の中に、故ジョン・F・ケネディ(John F Kennedy)元大統領の弟、故ロバート・ケネディ(Robert Kennedy)氏が暗殺された1968年に、やはり大統領選で民主党候補を目指した時以来の「スピリット」があるという。ルイス氏は「わたしは人々の側にいたい、そして歴史のスピリットの側にいたい」と述べた。

 ルイス議員は、予備選や党員集会で選ばれ、そのときの支持表明に拘束される通常の代議員ではなく党重鎮がなる「スーパー代議員」で、候補を最終決定する党全国大会では独自判断で投票できる。

 同日、100万人目の個人献金に沸いたオバマ候補は、ルイス議員の支持表明を歓迎し「アメリカの英雄であり、公民権運動の巨匠」の支持はたいへん光栄だと述べた。(c)AFP/Stephen Collinson